絶対面白い!ユーモア青春小説3選!

青春ってベラボウにぶっ飛んでたり、急転悲しみに暮れたり、とにかく振幅マックスな時代。
そんな青春を描いた小説は星の数ほどあるけれど、今日はその中でも「ユーモア!」に焦点を当てて、これぞ傑作、だれもが満足できる作品を選りすぐりでご紹介します!

もくじ
井上ひさし『青葉繁れる』
東北きってのエリート高校に入学したはずなのに、全くうだつの上がらない落ちこぼれの稔たち。
東大や慶応に入学し、女の子たちにモテることを日々妄想しているけれど、現実は厳しい。
そんな生ぬるい高校三年のある日、日本でもっとも東大に近い東京の最難関高校から、抜けるような美少年が稔達の掃き溜めクラスに転校してくる。
イケメン死ね!
しかし掃き溜めクラスに押し込められるとは、こやつ、案外俺らの同類なんじゃ・・・?
戦争の熱醒めやらぬ時代。地方の大都市のノンビリとしたエリート(崩れ)達が、夏目漱石の『坊ちゃん』よろしく、若い義侠心で勢いよく暴れ回る痛快譚。
とはいえ、赤シャツを懲らしめた『坊ちゃん』が、最後は自分が去らなければならなかったように、稔たちの青春パワーも結局のところは・・・。
世の中には、最終回で急にお涙頂戴になるドラマや映画が多くて鼻白むこともたびたびですが、それを上手くやればこんなに素晴らしい感動をもたらしてくれるんですよ、という見本の本作。
若者のエネルギーは全ての大人を欺瞞として撃ちますが、撃たれた大人の中にも本当はこんな素晴らしい真の大人がいるんだ。そう思って明日への元気がわいてくる一作です。
岩城宏之『森のうた』
世界的指揮者・岩城宏之がその青春を綴ったエッセイ風青春小説。
作曲家の山本直純とともに東京藝大音楽部で過ごした日々を、シンバルやティンパニの連打のような猛烈なパワーで描ききった隠れた名作です。
長らく講談社文庫所収でしたが、どういう理由か、2022年2月に河出文庫から新装版刊行となりました。
とにかくオーケストラの指揮がしたい!
岩城宏之と山本直純の頭の中はそればかり。
どうしたら指揮が出来る?オーケストラを作れば良いじゃないか!
クライマックスで彼らが演奏する曲は、時代を感じさせるソ連の大作曲家ショスタコーヴィチのカンタータ「森のうた」。
この曲は、ソ連政府から反革命の烙印を押されかけた作曲家が、慌てふためいて「スターリン万歳!」を歌い上げた隠れミノ的な屈辱の作、ともされる巨大な合唱曲ですが、オーケストラと合唱団による華麗なメロディの奔流は、さすがロシア音楽。近代最後の巨匠ともいえよう偉大な作曲家が、ある意味で「自分の生命をかけて」作りあげた作品は、なかなかどうして、政治思想だけでどうこういえない魅力に今も満ちています。
音楽を小説はどう描写するのか。
この難題を岩城宏之は易々とやってのけます。
カンタータ「森のうた」のクライマックスで、ソプラノたちが喉も裂けよと天を仰いで声張り上げる姿が目に見えるようです。
専業作家の筆ではないことで、「青春モノの傑作!」としては名が上がりにくい作品かもしれません。
しかし専業作家の筆でないのに、凡百の専業作家の青春モノを蹴散らす、フィナーレへの力強い雪崩れ込みには、ただただ「ブラボー!」の一言しかありません。
東海林さだお「ショージ君の青春記」
希代のエッセイスト・漫画家である東海林さだおの最高傑作。
これほどまでに軽妙にユーモアを交えながら、ずうんと重い焦るような気持ちや小ずるさを描ききったユーモア青春モノは他にありません。
青春とは結局のところ、堕ちて堕ちて堕ちて、何処で底を打ち這い上がるか、ということなのかもしれません。
まるで宿便を全て便器に置いてきた、というような底の打ち方、そこから見上げた空の澄み渡り方は、東海林さだおの真骨頂といえるでしょう。
みなさんも気持ちが暗くなった時に特効薬のようにして読んでいる青春ユーモア小説や漫画、映画はありませんか?
是非教えてください!






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